ガンダム姉さんとなった森口博子(1985~)

アイドル
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ガンダムが導いた神曲の歌い手

松田聖子のように日常、生活に溶け込んだ歌謡曲の中から見つけてハマるというのもあった訳ですが、80年代も後半に入って、ポスト82年組、ポストおニャン子組的な世代からは、一時的に工藤静香、中山美穂等の楽曲に少し惹かれた程度で、総合的にハマったアイドルは居ませんでした。
女性アイドルをはっきりと意識した存在が、聖子ちゃんこと「松田聖子」だったわけですが、当時流行の聖子ちゃんカットで1985年にデビューした「森口博子」という存在が、その後長い付き合いに、そして思ったよりも大きな存在に成っていくのでした。彼女を知る切っ掛けとなったのは、TVアニメ「機動戦士Ζガンダム」です。
森口博子直筆サイン
1980年代は、アイドル全盛期でもありましたが、TVアニメの世界では、(日本)サンライズが圧倒的な存在感を示していました。
そう、「機動戦士ガンダム」を作ったあのサンライズです。私は、直撃ファーストガンダム世代で、次いでイデオン、ザブングル、ダンバイン、あるいは傍系のダグラム、ボトムズとサンライズアニメの虜になって行きました。
そして1985年、1周してガンダムの続編がこのラインナップに加わるということで、アニメ界隈はまた違った盛り上がりを見せます。
その主題歌は、最初「Ζ・刻をこえて」という鮎川麻弥(エルガイムのOPがデビュー曲)の歌うアニソンらしい動的な曲だったのですが、後期OP曲として駆け出しのアイドルである森口博子が歌ったのが「水の星へ愛をこめて」でした。思えば、1年4クールのアニメの楽曲が前期・後期で変更になるというパターンもこの頃が走りだったでしょうか。
割と静かめの曲で番組の雰囲気に合うのかは微妙な感じもしましたが、これがなんとニール・セダカの曲(洋楽好きの自分としてはビックリのビッグネーム!)、楽曲自体は凄く良かったので結局EP盤を買いました(半分ジャケ買い?)。この曲はガンダムの力もあってスマッシュヒットしましたが、その後森口博子本人は歌手としては低迷、今一つと言った存在でした。
あまり目立っては居ませんが、この間もエースをねらえ!2だったり、鎧伝サムライトルーパーだったり、アニソンも少し歌っているんです。実際、サムライトルーパーのOP「サムライハート」なんかはライブでやってくれたりすると意外に盛り上がったりします。

バラドルの先駆者・ガンダムへ再び

しかし、ここから徐々に所謂バラドルとして開花していきます。私の思う所のバラドル三人娘(井森美幸、山瀬まみ、森口博子)の中では一番後から人気が出た感じだったと思います。
実を言うと、バラドルとしては井森美幸に最初に興味を持ったのです。そして、井森美幸と森口博子はよくバラエティ番組でも一緒に出ていたのを覚えています。そのことが、森口博子へ興味が移っていく切っ掛けとなっているのは間違いありません。あの、Ζガンダムの…という感じで一方で不思議な感じもしました。
森口博子自身が、ガンダムの主題歌でデビューしたことを当時あまり誇りに思っていなかった、といったこともあって、ガンダムファンからは少し毛嫌いされたこともあるようです。当時のアニメとアニソンの持つ印象、アニソン自体の世間での評価が変わりつつある現代では、これも今では許してやろうよ的な事もあって良いかも知れません。
バラドルとしてブレイクしてからは、向かう所敵無し位の勢いでテレビに出まくり、工藤静香の物真似であるとか、番組ホストでもあっても、ゲストに呼ばれても、軽快な喋りとノリの良さ勘の良さで、とにかく色んな番組で活躍していたことを思い出します。
歌も「恋はタヒチでアレアレア!」がテレビで流れ始める頃になると、歌手という側面にも少しスポットライトが当たり始めた感がありました。これは、私も何か次にステージに移行した感があり、生活の中でも森口博子の活躍を追い掛ける割合が増した気がします。
そうこうしている内に、なんとまたガンダムで話題を提供することになります。映画版F91のテーマ曲を歌うというのです。フィジカルは既にCDの時代になっていましたが、ジャケ型は今は無き細長い8cm規格CDで、カップリングには挿入歌も入っていました。この楽曲「Eternal Wind ~ほほえみは光る風の中~」は、今尚愛される楽曲として後に語り継がれることになります。
このシングルを買ってきた日は、とにかくリピートの嵐でした。それ程気に入ってしまい、カップリングも含め神曲に聞こえて仕方がありませんでした。そして、普段ろくに映画を観に行かない自分が、この歌を聴くためだけに映画を観ようと思いました。私は映画を全く観ない人間なのでこれは珍しいことでした。
バラドルとしての人気が頂点に、実質の冠番組的な「夢がMORIMORI」が始まるとさらに注目を集め、プリンセス・プリンセスの奥居香が手がけたテーマ曲も連続ヒットします。ようやくガンダム・タイアップ無しでのヒットと言えます。
まだ国民的存在になる前のSMAPと競演してたんです。そのSMAPも今では解体しており隔世の感があります(後継の嵐でさえ活動停止してしまう令和の時代…)。当時、森且行君の存在あっての番組タイトルな訳ですが、皮肉にも彼はその後SMAPを脱退しオートレーサーになってしまいました。しかし、つい最近念願のタイトル、日本選手権を勝ち取ったとかで話題になりました。
バラドル黄金期を迎えて、私も彼女の出ているTV番組を録画保存するのはもちろんのこと、CDシングル、アルバムも後追いで買い揃えました。ただ、その時はまだ彼女のライブに足を運ぶとかそういうことは考えていませんでした。
そして、普段仲の良かった職場の同僚とライブに行こうという話が持ち上がります。人生初のライブは学園祭でしたが、満足感よりももっと見たいという気持ちの方が強かったですかね。実際、この後地元(当時、名古屋)の厚生年金会館、そして、中野サンプラザ単独遠征とか、単独でも数回足を運びます。
森口博子学園祭チケット
気がつけば、ファンクラブにも入会していました。これも人生初の出来事。人気が落ち着いて行くにつれ、追っかけ度合いも薄れて行きましたが、それでも気には止めていました。ちょうど、声優・桜井智にハマるのが1995年なので、その頃から少し離れていくのですが、ちょうど音楽的ピークも下火になります。
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2010年代の森口博子=ガンダム姉さん

YouTubeというメディアが認知度を上げてからは、ガンダム関連曲を歌う森口博子が若い層にもアピールしたらしく、いつしかガンダム姉さんと呼ばれることに気付きます。
特に、「Eternal Wind」の破壊力が凄まじく、森口博子自身元々歌がうまい事もあって、ガンダム曲の女神扱いされて行くのです。やがてアニソンの現場にも呼ばれるようになり、気が付けば特別な存在として認知されて、彼女の生歌を聴いた若い人たちがさらに広めているのだと思います。ネットと生では迫力が違いますから、現場で体験した人がまた広めていくといった感じでしょうか。
アニサマという有名なアニソンの祭典でシークレットゲストで登場するという扱いぶりを見ると、いかに森口博子+ガンダム曲というのが大きな存在になっているのかが分かります。
また、2012年には、南野陽子、西村知美と期間限定でBlooming Girlsを結成するなど、ガンダム以外でも話題を作っています。これは私的には豪華メンバーだったので大阪まで観に行っています。
2015年のデビュー30周年30枚目のシングル「I wish 〜君がいるこの街で〜」では、「ETERNAL WIND」の再録として2015年versionを収録しリリイベでも披露されました。また、このシングルの初回限定版には過去の映像作品のBD化が同梱されるなど、復活の狼煙を上げています。
2016年には、「宇宙の彼方で」というシングルを出していますが、映画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅳ 運命の前夜 」主題歌であり、2018年には、シングル「鳥籠の少年」が、32年ぶりにZガンダムとのコラボレーション復活として話題になりました。これは、SANKYOの「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」の搭載曲でした。
また、2017年からはAnison Daysというアニソン番組でホスト役を務めて好評を博しています。この番組は、あっという間に4年目を迎えました。一般的には、もうガンダムだけでもなく完全にアニソン界隈の人という方に感覚が移りつつあるのかも知れません。
 
この間にも、ソロライブに足を運び終演後にハイタッチ、リリースイベントで握手やサインを貰ったり、と昔出来なかったことを実現しました。同郷とまでは言えないまでも、同じ九州出身であることもあってそういう意味でも親近感があるタレントさんです。これは、松田聖子のところでも思った感情です。
森口博子リリースイベント
2019年には、ガンダム姉さんの名の通り、ガンダム楽曲のカバーアルバムも出してレコ大の企画賞を貰うなど、更なる活躍を見せています。 このアルバムは、オリコンで自身最高の週間3位を記録、1991年のベスト盤「Eternal Songs」以来28年ぶりのTOP10入りで、女性アーティストのインターバル記録を更新したと話題になりました。
 
今年2020年にも、ガンダムカバーの続編として2枚目を発売、チャート最高位記録も週間2位へ更新、3枚目も企画されるんじゃないかと言う勢いで売れています。そういうわけで、すっかりガンダム姉さんは定着、アニソン界でもしっかり居場所を見つけたようです。
森口博子にとっての第二期黄金時代かも知れません。同時期にデビューしたライバルの井森美幸もテレビで安定した存在感を見せている昨今、この二人の活躍はなんか嬉しいものがあります。願わくば、早くコロナ禍が収まって実際にライブに行きたいものです。

おすすめの「森口博子」アルバム

お勧めのアルバムを紹介します。
残念ながら本当に紹介したかった、’90年代のオリジナルアルバムはSpotifyには無いようです。
1.『GUNDAM SONG COVERS』 (2019年)
企画盤は2枚出ていますが、これは1枚目。ガンダム姉さんがまさに形になった、ガンダムファンとしても、森口博子ファンとしても必携の1枚。彼女の代表曲(Ζ、F91)のセルフカバーだったり、鮎川麻弥の「Ζ・刻を越えて」のカバーとか色々入ってます。ただ、アレンジが大人向けなのでオリジナル指向派には向かないかも知れません。この辺りは評価は分かれるかも知れません。(※再生音量注意)

2.『GUNDAM SONG COVERS 2』 (2020年)
大好評だった企画盤の2枚目。コロナ禍で発売延期となったが無事リリース。オリコンでも自身最高の週間2位を記録して、その人気ぶりを証明している。ファンによる投票で決まった10曲をランキング順に収録、これに森口博子枠と言われる2曲を加えている。個人的には、F91関連曲の「君を見つめて」が収録されたのが嬉しいですね。(※再生音量注意)

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