オルタナとしてのももいろクローバーZ

アイドル
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オルタナティブ・アイドルと言う存在

Perfumeを見つけて間もなく、声優アイドルやアイドル界隈の情報を色々2ちゃんねるでチェックすると言うのが、生活の一部になりつつありました。
その中で、ももクロ(ももいろクローバー)というグループのライブが何やら凄いらしいと言う噂を目にします。やがてテレビでも取り上げられる事になるのですが、ちょっと気になる存在でした。
「今、会えるアイドル。週末ヒロイン、ももいろクローバー」と自己紹介の口上のある(当時)6人組。路上ライブ、店頭プロモーション、場違いな対バンをこなし続け、少しずつ知名度を上げて行きます。
触れ込みは、アクロバティックなライブ・パフォーマンス。側転、前方倒立回転、えびぞりジャンプ。メジャーデビュー曲の「行くぜっ!怪盗少女」で見せたジャンプは、HMV渋谷店で「このジャンプがアイドル史を更新する。」と言うコピーで張り出され、一部にかなりのインパクトを与えていたことを証明しています。
2ちゃんねるで情報を得て、YouTubeで確認するという、Perfumeを発見した時のやり方で、実際にももクロも凄いんじゃないかという結論を得ます。Perfumeの場合もそうでしたが、やはり結局のところ楽曲自体に魅力があるのが自分にとって重要なポイントでした。
ヒャダインこと前山田健一、そしてNARASAKI、の作曲陣が凄かったんだと思います。ヒャダインは、ニコニコ動画から活動を広げていった今風の現代的な作曲家の走りと言えます。後にももクロから離脱して行きますが、ももクロの飛躍に作曲面で大きく貢献した立役者の一人であることは間違いありません。
王道アイドルとは違う何か。パフォーマンスはもちろん、楽曲も斬新さがあって、下積みが長いのはPerfumeと似ていましたが、ももクロの魅力はメジャー化していくプロセスが表に見えていて、それ自体が壮大なストーリーでありプロモーションになっていました。
メンバーの色分けについては戦隊シリーズから取っていると思われます。ファンの年齢層が思ったより高かったりするのは、秘密戦隊ゴレンジャーといった元ネタをよく知る所から湧く親近感など、小さな引っかかりの蓄積によるものが大きいです。
ドリフターズねたやプロレスねた等、随所に突っ込みどころがある他、仲の良いメンバー同士のわちゃわちゃ感、頑張る姪っ子を応援したい感など、熟年層を引き込む何かがありました。正直なところ歌自体は上手くありませんでしたが、それを凌駕するエネルギーと可愛さがあったのです。
また、業界内での口コミ、有名芸能人がファンであると公言して、さらにファンを広げるという現象もももクロを語る上で象徴的なことでした。ドランクドラゴンの塚地、南海キャンディーズ山ちゃん、吉木りさ、氣志團田中将大投手、そして同業者と言えるPerfumeののっちなんかもその中に居たりします。
ももクロがメジャーになった今では、そのフォーマットを真似するアイドルグループも幾つか居ます。彼女達のパフォーマンスは奇をてらっているだけでなく、対バンで見せるロック魂みたいなスポ根とも言える情熱がありました。大人の指示で動いていると言えばそれまでですが、熱血ものの対バンは見ていて熱くなりました。
時には、プロレスの現場へ乗り込んでのパフォーマンスなんかも仕掛けます。対バンでもそうですが、アウェイ感を覆して自分たちのものにする。それを繰り返して、まず身近な所にファンを作る。業界内に味方を作り、そこから噂が広がっていく、と言う構造を見ることが出来ます。それは、アイドル歌謡というより、ロックやパンクに近いアティテュードがあったと言えます。
一足先にブレイクした”会いに行けるアイドル”AKB48に対して、”今、会えるアイドル”ももいろクローバー、AKB48自体も元の方法論からすれば正当派でも無かったのかも知れませんが、知名度を得てからはライブアイドル的な側面はあまり見えず、以後のももクロとは明確に違いました。
グループアイドル全盛の2010年代において、ももクロはスターダストを、ハロプロ(モーニング娘。)、秋元AKBグループと肩を並べる第三の勢力にのし上げるまでになります。
洋楽、ロックの世界ではよく使われる、オルタナティブと言う言葉があります。彼女たちの成長してった道程は、これまでのアイドルに無かったもので、また楽曲自体にも斬新な展開や様座なジャンルを取り込んでいるという部分も含め「オルタナティブ・アイドル」という表現を使いたくなる存在でした。

あかりん(青)の脱退、6人から5人へ

百田夏菜子(赤)、早見あかり(青)、玉井詩織(黄)、有安杏果(緑)、佐々木彩夏(桃)、高城れに(紫)。5人からスタートしメンバーの増減を繰り返して、この6人の時に事実上のブレイク。代表的な楽曲は、夏菜子のエビぞりジャンプが象徴となった「行くぜっ!怪盗少女」です。
メンバーにはそれぞれ、キャッチフレーズと自己紹介の口上が用意してありました。これは、ライブでもファンと一緒に行うのがお約束となっています。例えば、
百田夏菜子(赤)、「えくぼは恋の落とし穴」百田夏菜子です。 19歳です!
早見あかり(青)、My smile will change the world. You decide my future. Can’t stop. 「ももクロのクール・ビューティ」早見あかりです!
玉井詩織(黄)、「泣き虫で甘えん坊のみんなの妹」しおりんこと玉井詩織、18歳の高校3年生です!
有安杏果(緑)、ももクロの「ちょっぴりおバカな小さな巨人」、有安杏果、18歳です!
佐々木彩夏(桃)、ちょっぴりセクシーでお茶目な「ももクロのアイドル」あーりんこと佐々木彩夏です。ももクロ最年少、高校2年生の17歳です!
高城れに(紫)、「ももクロの感電少女」高城れにです。 20歳の毎日ヒロインです!
特に、メンバーの中心百田夏菜子に対するもものふの呼び方「かなこぉ~↑↑」のイントネーションは一世を風靡しました。ももクロ以外の現場でもこれを使っていた人が頻発した程の影響力。
和をイメージしたコンセプトでスタートとしたももクロは、貪欲に様々な音楽性を提示しながら、本気とギャグの中間を攻めつつもファン層を拡大していき、ホール規模を埋めることの出来る人気を獲得していきました。日本青年館のライブはもう涙無しでは見ることが出来ません。
しかし、そこに大きな転機を迎えます。ももくろ史上最大のドラマと言えば、早見あかりの脱退劇でしょう。アイドルとしての自分の存在意義に疑問を持ち女優の道へ。音楽的には、彼女のクールな声質が多様性を与えていて必要不可欠だと思っていただけに非常に残念でした。
最後となった中野サンプラザ公演は、これはもう泣ける一言に尽きます。さらに、終演後に「ももいろクローバー」から「ももいろクローバーZ」へ改名を言い渡されるという、いつもながらに唐突に重要告知という場面がまたドラマ性を掻き立てます。6人から5人へ、無印から「Z」へ、マジンガーZさながらに水木一郎アニキの声が響き渡りました。
声援を送る側としては、ガチコールの入る現場でしたから、メンバーに対するコールの譜割りが変わってしまうと言う部分にも影響があり、若干の違和感を覚えました。戦隊ものというパロディを思い浮かべれば5人というのはしっくり来るのかも知れませんが、そういう問題じゃありません。
メンバー構成は、Perfumeが3人中1人交代した後は不動のメンバーになりましたが、ももクロは、結成から入れ替わりが激しく、2009年に有安杏果が加入しブレイクを果たしたという直後、翌年早見あかりが脱退という衝撃がありももいろクローバーZとして5人体制へ、この布陣に慣れたと思って黄金期だと思っていたら、2018年に有安杏果が卒業して現在の4人になりました。
パフォーマンスの点で5人のバランスが絶妙だと思って居たので、ももかの突然の脱退は非常に残念でした。
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四つ葉のクローバー・夢を叶える物語

地下アイドル的仕掛けだった、AKBグループが人気を得てメジャーになって来た時代に、対抗馬としてはとても小さな存在だった訳ですが、気が付いたらドームクラスを埋められる程の人気者になっています。夢と言っていたNHK紅白も国立競技場も達成しています。
国民的アイドルとまで呼ばれるようになったももクロ、気が付けば4人になっていました。個人的な思いですが、4人でも十分なパフォーマンスを披露していますが、やはり何か足りない気がしてしまいます。これは、大きな目標を既に達成してしまった後の燃え尽きみたいな部分もあるかも知れません。

おすすめの”ももクロ”アルバム

1.『バトル アンド ロマンス』 (2011年、デビューアルバム)
アイドル音楽史を越えて邦楽史に残る名盤、と個人的に思っている。ここに収録されていないシングル曲もあるが、収録曲のどれもがももクロの魅力を伝えている。2曲目のライブアイドル感、3曲目の転調・ラップの変態性、4曲目のお祭り感、5曲目の名前練り込み、8曲目のD&B、9曲目・12曲目のアンセム感。そして10曲目の「行くぜっ!怪盗少女」は、まさにアイドル史を変えてしまった名曲。(※再生音量注意)

2.『5TH DIMENSION』 (2013年、2枚目)
名曲だらけの1stから待ち望まれた2ndアルバム。クラシカルな幕開けからサイバードラムンベース。進化を期待させる音作り。続く2曲目もなかなか格好良い。3曲目に例の壮大なシングル曲。4曲目はラップ曲。5曲目の「労働賛歌」はライブで化ける曲。9曲にはEDMだ。12曲目に布袋寅泰が参加した「サラバ、愛しき悲しみたちよ」とバラエティに富んでいる。(※再生音量注意)

3.『白金の夜明け』 (2016年、4枚目)
『AMARANTHUS』と同時発売だったことでも話題だったアルバム。チャート上ではオリコン1位を記録、もう片方は2位だった。さすがに2枚同時となると稀釈された感も。こちらには5曲目にKISSとコラボした「夢の浮世に咲いてみな」が収録されているのが大きい。10曲目の「MOON PRIDE」はセーラームーンの新作のテーマ曲である。(※再生音量注意)

4.『MOMOIRO CLOVER Z』 (2019年、5枚目)
メンバーが4人になって初のアルバムはセルフタイトル。1曲目は、何か聞き覚えがあると思ったら、まんま2-Unlimitedの「Twilight Zone」を引用しているとのこと。4曲目「あんた飛ばしすぎ!!」がハイライト。かつてのももクロの勢いを感じさせるようなパンキッシュなビートだが、実は元ネタがあって GARLICBOYSの「あんた飛ばしすぎ」をリメイクしている。(※再生音量注意)

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