王国民となった日、ピンク一色の世界・田村ゆかり

アイドル
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隣国、ゆかり王国とは…?

2010年、水樹奈々で声優アイドル界のライブ現場復帰を果たしました。青のペンライト、そしてUO一斉点灯のオレンジの海を体験して、完全に昔の興奮が蘇りました。テクノの現場とはやはり違う声優・アイドルの現場、これも非常に良いものだと実感したのです。
この頃までもライブには行かなくても、本屋に寄った時には雑誌の声優コーナーで手にとってみたり、今月の表紙は誰かなと声優方面を気にはしていました。そして、同じ時期に活躍していた田村ゆかりは水樹奈々と争うように代表的な声優雑誌の表紙を数多く飾っていました。
そして彼女がそこまで人気がある理由が何なのか気になり、2ちゃんねるでも情報を探りました。これは自然なことでした。そうすると、彼女の現場は「ゆかり王国」、ファン達は「王国民」とよばれ、応援のスタイルも何か熱気を感じさせるものがあるのだと思わせました。
普通はCDから買ってどういう曲調か様子を見る所ですが、やはりここはDVDでライブの雰囲気を見てしまうのが近道と思い、評判の良さそうなタイトルを厳選して冒険の意味で購入します。購入したのは職場の近場でアニメイトやゲーマーズと言った専門店ではありませんでした。要するに半分衝動買い的です。
自宅に帰ってDVDを観て、これは…と衝撃を受けます。もちろん、コールやジャンプ上等の現場は桜井智を経験していれば、それ自体はそう驚くことではありません。要は、こういう現場がまだ生き残っている場所があったと言う所に感激した訳です。
DVDのタイトルは、『田村ゆかり Love♡Live *Dreamy Maple Crown*』。2009年のツアーを収録したこの映像作品はまさに運命の一品でした。「恋のタイムマシン」というキャッチーな曲で始まるこのライブ、これに続く「パピィラブ」「ラブリィレクチャー」序盤の3曲でもう合格判定でした。
客席のコール&ジャンプの本気度も凄まじく、また一方でロリ系入った衣装と着ぐるみを従えてのステージ、ピンクのサイリウムの海と田村ゆかりの声質が独特の世界観でしたが、それを凌駕する楽曲の良さがありました。
後に超重要曲と分かる、”国家”、”メタウサ姫”もこのDVDには収録されており、小泉今日子のカバーを歌ってるわ、後半の畳み掛けも水樹奈々で言えば「POWER GATE」に匹敵する「fancy baby doll」が、まさに爆上げナンバーで圧倒されました。
水樹奈々の場合も、代表曲の「Power Gate」や「Eternal Blaze」、当時新しかった「DISCOTIQUE」でコールは炸裂していましたが、田村ゆかりの現場は明らかにそれを上回る勢いを感じたのです。王国民がモモイストと比較され、ゆかり王国と呼ばれる理由も分かるような気がしました。法被や鉢巻きが多いなど、ちょっと考えると時代錯誤のようなタイムスリップした感すら覚えました。
そして、間を空けずに2本目のDVD『田村ゆかり LOVE LIVE *Princess à la mode*』を購入し、またまた「You & Me」のラップコールという語り草になっていく衝撃の場面に遭遇することになります。このコールの実現に至るエピソードはもはや伝説となりつつあります。
さらなる確信を得て、ライブへ申し込むべくファンクラブ「Mellow Pretty」へ入会します。それからは、CDも徐々に買い揃え、好きな楽曲もかなり沢山見つけることが出来ました。むしろ自分の好みは水樹奈々よりこっちかなと思いました。
水樹奈々と田村ゆかり、共に魔法少女リリカルなのはシリーズでフェイト・テスタロッサと高町なのはという主人公を演じていた二人。お互いの現場は隣国と言われて比較対象となっていました。イメージカラーもブルーとピンクと対照的です。
2010年以降、この二人に関してはツアーに極力行くようになりますが、それぞれに魅力があり、声優アイドルの現場へ完全復帰出来たことを嬉しく思い、その世界を堪能しました。

王国民として生きる決意…

迎えた初参戦のライブはその年のツアー「Love Live 2010 -Starry Candy Stripe-」の横浜公演。会場のパシフィコ横浜も初めて行く所でした。座席はそこそこ前の方と分かっていましたが、右端の見切れ気味のポジション。
事前にサイリウムも用意(結局現場で公式ペンライトは買うことは出来ましたが)、また「LOVE ME NOW!」という曲でポンポンを使うというので材料を調達して自作したものも持参。万全の体制で臨みました。ただ、横浜公演はツアー初日だったのでセットリストが読めませんでした。
蓋を開けてみれば、披露されたセットリストは、これがもう聴きたかった楽曲のオンパレード!
簡単に列挙するだけでも「チェルシーガール」「Little Wish ~first step~」「Tomorrow」「メタウサ姫」「恋のタイムマシン」「You & Me」「fancy baby doll」「童話迷宮」等々。今から振り返るとまさに好きな曲だらけの神セトリ。
ゆかり王国のペンライトはピンク一色。水樹奈々のようにベースの色があって特定の曲で色を変えるなんてことはまずありません。この日は前から3列目で周りもよく見えず、実際にピンクの海に感動するのはもっと後なんですが、初参加で今一つ乗り切れなかったのが勿体なく、これは真の王国民にならねば、と誓う切っ掛けにも成りました。
水樹奈々の方も初参戦の特殊な思い出も作用して、暫くはフォローしていこうとは思っていましたが、こっちは自ら参戦していこうという意思が強く反映されています。この時に聴くことの出来なかった楽曲も聴きたいと思いましたし、過去の作品も徐々に揃えていきたいと思いました。
田村ゆかりの歌声は甘い感じで、人によっては合う合わないがあると思いますし、自分も少しそれは感じていますが、楽曲の良さ、彼女のパフォーマンス力がそれを遙かに上回っています。また、あの声質だからこそ、電波ソングや典型的アニメ曲にも対応出来、幅広い楽曲をレパートリーに持つことに成功しています。
80年代アイドルの頃生まれた、コールを始めとする文化は、間違いなく声優アイドルの現場にも伝播していたことをゆかり王国で再認識しました。系譜を辿ればきっと椎名へきるや桜井智を通って、そういう源流へ行き着くはずです。
田村ゆかりの魅力は、トークの面白さに自虐的なメンヘラ気質、現場のノリの良さはもちろんなのですが、やはり良質でバラエティに富んだ楽曲群に特筆するものがあります。跳び曲、バラード、電波曲、エスニック、彼女の人気があるのも納得でした。
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ゆかり姫の魅力とは…?

田村ゆかりは、福岡県出身の声優さんである。これまで嵌ってきた松田聖子、森口博子に次いでまたも福岡県出身のタレントに入れ込むことになります。これが偶然なのか必然なのか、同じ九州出身だと、例えば方言ネタとか取っ掛かりは増えるのは確かです。
彼女はヲタクという程マニアックでないにせよ、アイドルには憧れて居たようで、ライブでもカバー曲を披露しています。
私がまだ桜井智を追い掛けていた1999年には、堀江由衣と伝説のユニット「やまとなでしこ」を結成しますが、当初の人気は堀江由衣の方が上でした。その後、彼女の努力の甲斐もあって人気も逆転することとなります。2015年にさいたまスーパーアリーナで行われたKING SUPER LIVEでは、4人(喜多村英梨、小松未可子、堀江由衣、田村ゆかり)のコラボ曲でこの二人が隣同士で歌うという奇跡のステージが実現し一部に響めきが起こったのでした。
ことあるごとに引用される伝説のユニットであるが、新しい所では、2019年のアニメ、ポプテピピックの主要キャラで競演し、これも一部のファンを喜ばせた。
田村ゆかりの凄さはその見た目だけからは想像が難しい。2005年辺りから人気が出始め、2008年には椎名へきる、水樹奈々に次いで、声優として3人目の日本武道館ライブを開催した、というと少しは伝わるのではないだろうか。
ゆかり王国では、若干大人の悪ふざけ的な遊びも見受けられる。ゆかり姫やメタウサ姫もその一つかも知れない。楽曲や演出が奇をてらっていてもそれが許される魅力が本人にあるのだ。そしてその最たる例が「神楽坂ゆか」の存在であろう。
2012年に登場した神楽坂ゆかは、昭和時代をパロディにした架空のアイドルであり、田村ゆかりのライブに間借り出演したり、アルバムをジャケットをわざわざLPサイズにしてリリースしたり、王国民もこれに乗っかる感というのが心地良かったりする訳で、永遠の17歳をまさに逆手に取った設定でした。
これによりピンク一色だった王国は、ゆかたんこと神楽坂ゆかのイメージカラー、スカイブルーも光り出すことになり、ペンライトもそれに対応した公式ペンライトが販売されたりしました。神楽坂ゆか単独名義のライブが開催されるに至っては、その悪ふざけの本気度が伺えます。
この辺のノリの良さが魅力でもある。ライブのMCで見せる、臨機応変なアドリブ、この辺りのセンスは彼女の魅力の一つであろう。王国以外の声優ファンが羨ましがる程の信頼感がここにはあります。
栄華を極めたゆかり王国でしたが、2016年に転機を迎えます。声優として重要な武器であるラジオのレギュラー番組が終了、運営FCの変更やキングレコードからの離脱と、王国民も不安にならざるを得ない状況を呈します。
その影響は大きく、ライブの開催、シングル、アルバムのリリースも鈍ることになりますが、徐々に活動の基盤を整備して、一人フェス状態のゆかりっくフェスの開催を見ると、大掛かりなパロディの再現でゆかり王国ここにあり、を再度確信出来て驚喜したものです。
水樹奈々の結婚など、声優アイドル界を取り巻く環境も激変している中ですが、これからも、彼女のペースでライブや歌を披露していってくれるでしょう。王国民としてはこれをずっと見守るしかりません。

おすすめの「田村ゆかり」アルバム

お勧めというか、お気に入りのアルバムを紹介します。
1.『シトロンの雨』 (2010年、8枚目)
ちょうど私が田村ゆかりに参戦を決意した時に発売された8枚目のアルバム。1曲目は結構重厚な音作りで、ライブ会場ではヘドバン上等な一品。2曲目の「Gratitude」はライブの定番、ズッ飛びで全力の「ありがとう」を伝えよう。5曲目に王国民ここにありの伝説を作った「You & Me」、続く6曲目も同じくm.o.v.eの motsuを迎えたラップ曲。こちらは、より難易度の高いコールが試された。7曲目「Tiny Rainbow」はワイパー曲、ゆかりんの声の魅力全開で涙が出そうになる。15曲目のポンポン曲等、多彩な収録曲である。(※再生音量注意)

2.『銀の旋律、記憶の水音。』 (2006年、5枚目)
14曲目にライブでのハイライト曲「fancy baby doll」を擁する5枚目。「世界一可愛いよ」コールは声優ライブ好きなら王国民でなくても知っている程の有名度。4曲目は「恋せよ女の子」アニメ「極上生徒会」OPテーマ。ライブでは公式パペットが舞い踊る、とにかく様式美のPPPH、コール、振りコピで。10曲目の「Cursed Lily」は、迫力を感じさせる1曲、格好良いゆかりんだ。13曲目は、なのはA’sのED曲である。(※再生音量注意)

3.『琥珀の詩、ひとひら』 (2005年、4枚目)
何やらエキゾチックなInterludeで始まる4枚目。5曲辺りまでは通常運転だが、Interludeを受けたような6曲目の雰囲気感が凄い。これぞ真骨頂、田村ゆかりの振れ幅の大きさを見せる。9曲にライブでの定番曲「惑星のランデブー」。楽しさ全開曲であるが、まさに心臓破りであることは現場に行けば実感する。13曲目にこのアルバムの決定打「Little Wish」、言わずと知れた無印なのはのED曲。ライブでは、この曲調でもコールが響き渡る神曲。最後はまた一転、楽しさ満開の「Picnic」。(※再生音量注意)

4.『花降り月夜と恋曜日。』 (2002年、2枚目)
2曲目の「Baby’s Breath」(シングル3枚目)、10曲目の「Love parade」(シングル2枚目)、11曲目の「Fortune of Love」の3曲があるので初期代表曲を押さえる上で重要な1枚。「Baby’s Breath」は静かな楽曲にも関わらず、ライブ会場では王国民全力投球のコール&ジャンプが炸裂する伝説の曲とも言える。収録映像で画像が揺れる程王国民は本気で跳んでいる。5曲目の「さよならをおしえて」のウィスパーヴォイスも堪らない。(※再生音量注意)

5.『螺旋の果実』 (2013年、10枚目)
移籍前の最後のアルバム。序盤からノリノリの1曲目。4曲に超強力シングル曲「Fantastic Future」、そのテンポ通りライブ会場では激烈に盛り上がる。これと15曲目の「W:Wonder tale」が双璧で、11曲目の「純愛レッスン」も盛り上がるコール曲、ビートが効いている。一方、8曲目のオシャレさん「ナルシスが嘘をつく」や9曲目のハードチューン「Passion Error」の様な大人の魅力的変化球も堪らない。(※再生音量注意)

6.『蒼空に揺れる蜜月の小舟。』 (2003年、3枚目)
2曲目に「Lovely Magic」(4枚目のシングル)、8曲目に「眠れぬ夜につかまえて」(5枚目のシングル)を擁する3rdアルバム。 ライブでの超鉄板曲「fancy baby doll」が登場するまで、盛り上がる代表曲であった「Honey Moon」がラストに控える。まだブレイク前と言える時期だが、こういう重要な曲が収録されているのは見逃せない。展開が面白く可愛さ爆発の3曲の「大好きと涙」も人気曲だ。(※再生音量注意)

番外.『Doki Doki ☆ π パイン』 (2014年、2枚目)
神楽坂ゆか名義で発売されたミニアルバムはこれまで3枚有るが、2014年に発売されたこれはその2枚目。 当初、ライブ会場限定で発売された。1曲目の「Doki Doki ☆ π パイン」は、円周率をコールさせようというこれまたどこまで本気か度を試される迷曲。2曲目の「SUN SUN サマー Touch Me」はトランス風ポップ。3曲目「1、2、の3シャイン」は王道アイドルソング。(※再生音量注意)

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