浅草橋ヤング洋品店からアイドル?
かつて、テレビ東京系で浅草橋ヤング洋品店というバラエティ番組が放送されていました。
名の通りファッション、サブカル中心のプログラムでしたが、徐々にバラエティ色が強くなり、周富徳や江頭2:50などのスターを生み出しました。
通称「浅ヤン」は、その後「ASAYAN」と名前をマイナーチェンジし、オーディション中心の番組へと変貌します。
私の中のマイブームであった第3次声優ブームの真っ直中、一般にはアイドル氷河期と言われた90年代中盤、1995年秋に番組はリニューアルしています。
この番組は、鈴木あみやCHEMISTRY等を排出しましたが、何と言っても今や大きな存在になったのが「モーニング娘。」でしょう。
モーニング娘。は、ハロープロジェクトの元になったグループとも言え、『シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション』の落選者の中から選抜された5名で結成が発表されました。
ここであれ?と思うのではないでしょうか。このグループは、合格者ではなく落選者の集まりなのです。ちなみにこの時合格したのは平家みちよでしたが、結果から言うとモーニング娘。の方が売れてしまいました。
インディーズシングル「愛の種」を5日間で5万枚売り切る、と言う企画は今でも覚えていますが、これを達成したとして、モーニング娘。は、1998年1月発売の「モーニングコーヒー」でデビューします。
この時のメンバーが、中澤裕子・飯田圭織・石黒彩・福田明日香・安倍なつみの5人(オリジナルメンバー)でした。
この出発は地味に見えましたが、徐々に知名度を上げて1999年の「LOVEマシーン」では完全に国民的認知度を得ました。
この流れにあって、「モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」と言う企画の第4回で、ある少女が合格をします。そう、これが松浦亜弥です。当時14歳。
この時代、アイドル氷河期を抜けていたかも知れませんが、歌の世界が中心だったアイドルの世界も多様化していて、80年代に見られたそれとはもう違っていました。
その中で孤軍奮闘していたモーニング娘。ですが、松浦亜弥の登場でつんくプロデュースのハロー!プロジェクト所謂ハロプロという軍勢が成り立つことになります。
2000年にオーディション合格、2001年にデビューという、21世紀最初のアイドル。松浦亜弥はそういう存在だったかも知れません。そして、グループアイドル全盛の時代を迎える前のスーパーソロアイドルとしては、最後の存在となった、あややこと松浦亜弥。ハロプロと言えばモーニング娘。ですが、松浦亜弥は特別な存在でした。
モーニング娘。にはさほど興味も無かった私も松浦亜弥の楽曲や存在感自体には徐々に引き込まれていきました。
アイドル冬の時代~21世紀に突入
2000年代に入り、第3次声優ブームの落ち着きも見せる中、次のターゲットを見付け切れず居た頃、松浦亜弥の現場は魅力的に見えました。実際、今ライブDVD等を見てもそのファンの盛り上がりは中々のものがあります。
まさに世紀末と言った言葉に踊らされていたこの少し前は、歌の世界と言えば、椎名林檎の『無罪モラトリアム』が1999年2月24日、宇多田ヒカルの『First Love』が1999年3月10日リリースと、ロックやR&Bの世界で超名盤が出た直後で、私もこの2枚はCDを購入して嵌ったものです。ハマりはしなかったけれど、浜崎あゆみの『A Song for ××』も1999年1月1日。そういう年でした。
デビュー曲の「ドッキドキ!LOVEメール」は、2001年4月11日リリース、やや地味に聞こえる曲だがコールは所々入れたくなる雰囲気。2ndシングルの「トロピカ〜ル恋して〜る」は短いスパンでリリースされ、より弾けた雰囲気でキャッチーになりました。振り付けにもそれが言えて振りコピしたくなるような箇所が見えて来ます。
3rdシングル「LOVE涙色」では、曲調を変えてまた楽曲の良さを見せつけた。4つ打ち基本というのが心地良いというのがベースにあるかも知れないが、この頃にはすっかりあややの虜になっていました。
バラードの4枚目を挟んで、これぞ Theあややと言うべき「♡桃色片想い♡」がリリースされます。
ピンクのイメージでヘソ出しルックが印象的なPVですが、単なるブリッ子とも違う文脈で、資生堂のCMソングにも起用されたためこの辺りで一派層にも認知度が浸透したのではないかと思われます。
そして畳み掛けるように、「Yeah! めっちゃホリディ」。物真似でも多用された楽曲で、この5,6枚目のシングルが彼女の代表曲と言えるでしょう。インターネットも普及してきた頃、歌詞に../(ドットドットスラッシュ)と入れて振り付けにも取り入れるなど、少し飛んでる発想が功を奏した感がありましたし、実際に話題になったものです。
その後も「ね〜え?」「奇跡の香りダンス。」のようなポップな彼女らしい楽曲や。美空ひばりに縁のある「草原の人」や森高千里のカバー「渡良瀬橋」等大人っぽい楽曲も披露しキャリアを積んで行きます。
ハロプロはユニット企画も豊富であり、あややも幾つものユニットを組んでいる経緯があります。
石川梨華、加護亜依とは2001年に「三人祭」、ライバルとも言われた後藤真希や藤本美貴とは2002年に「ごまっとう」、安倍なつみや後藤真希とは2004年に「後浦なつみ」、安倍なつみ・後藤真希・石川梨華、とは2005年に「DEF.DIVA」、藤本美貴とは2006年にも「GAM」等々、切りがない程です。
2000年代前半を駆け抜けた松浦亜弥でしたが、その人気は意外に短いものでした。また、先に挙げたユニットを除けば、シングル、アルバム共にオリコンの最高位は2位であり、リリース枚数もそんなに多くないことが分かります。この辺が彼女の評価を思ったより低く見積もられている要因かも知れませんが、アーティスト寄りの歌謡界において孤軍奮闘していたハロプロ、さらにその中にあって一人異例のソロデビューを果たして結果を残していた松浦亜弥の存在は、もっと評価されて良いと思います。
2009年にはハロプロを卒業、病気や結婚と言ったプライベートな経験も伝わって来ていましたが、2013年には実質的に表舞台から姿を消したようです。
忘れられたアイドルの様な気もする松浦亜弥ですが、時々話題に上ってくるのはやはりただ者ではなかったという証拠でしょう。2020年には、アニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のEDで、「♡桃色片想い♡」のカバーが起用されてTwitterのトレンド入りをしていたりします。
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戦国時代におけるハロープロジェクト
2000年代後半、私の方は松浦亜弥から中川翔子へ興味が移っていった訳ですが、ハロープロジェクト自体は、モーニング娘。以外にも発生ユニットとは違う独立したグループを量産していくことになります。
同時期でも、里田まいの居たカントリー娘。やココナッツ娘。(共に1999年結成)が居ましたが、ハロプロ帝国とまではまだ成っていませんでした。
2004年デビューのBerryz工房は、「ハロー!プロジェクト・キッズ オーディション」の合格者の中から8名で結成、芸能人にもファンが多かったが、特に”ももち”こと嗣永桃子がバラエティ番組で露出しだしてからは一般認知度も上がりました。
嗣永桃子は、その振る舞いからイロモノ的な雰囲気がありましたが、2007年にBerryz工房(夏焼雅)と℃-ute(鈴木愛理)の選抜から結成されたユニットでのパフォーマンスなどを見ると、そのギャップに驚かされ引き込まれてしまいます。偏見で惑わされないようにしないといけない良い見本だと思いました。(2015年に無期限活動停止)
モーニング娘。の6期、元8代目リーダーの道重さゆみがそうだったように、広告塔としても重要な役割を果たしていましたね。同じくバラエティ番組でイジられていた道重さゆみですが、冷静に言って可愛いと思いましたし、嗣永桃子とはまた違う魅力を持っていました。
2005年デビューの℃-uteは、Berryz工房と姉妹グループのような感じで生まれた7人組。岡井千聖が時折バラエティ番組に顔を出していました。(2017年に解散)
2010年にスマイレージがメジャーデビュー、4名からスタートしたこのグループは、2014年にアンジュルムに改名したが現在も10名で活動をしています。そう言えば、アイドル好きの南海キャンディーズ・山里亮太と蒼井優の結婚は、アンジュルム好きが切っ掛けとも言われています。
この頃は、AKBグループが安定し始めた頃にあり、一方でももクロがブレイクほやほやのホットな時期で、まさにアイドル戦国時代の2010年代が幕を開けた丁度その時でした。
アイドルフェスのTOKYO IDOL FESTIVALが始まったのもこの年で、「Z」が付く前のももクロを始め、アイドリング!!!、さくら学院、私立恵比寿中学、東京女子流、中野腐女子スターズ、ぱすぽ☆、でんぱ組.incなどが参加しています。
この潮流の中で、対立していた訳ではないですがAKB vs ハロプロ的な構図が出来てきて、そこにももクロ人気に勢いづき、チームしゃちほこ(現TEAM SHACHI)やたこやきレインボーを立ち上げたスターダストが第三派としてのし上がって来ている所でした。
2013年には、Juice=Juiceが6名でデビュー。アンジュルムと共にハロプロを代表するグループとなっています。
2015年にこぶしファクトリー、つばきファクトリーがデビューしましたが、前者は2020年に解散しているようです。
2018年には、今現在話題のBEYOOOOONDS(「CHICA#TETSU」「雨ノ森 川海」「SeasoningS」の3つのユニットから構成)がデビュー、メンバーも9人から12人へ増えて活動しています。楽曲の斬新さもあって今後も要注目と思われます。
デビューシングルは、「眼鏡の男の子/ニッポンノD・N・A!/Go Waist」。MVも話題になり、それぞれが特色のある楽曲で印象に残っていますが、「Go Waist」は、そのまま過去のヴィレッジ・ピープルの大ヒット曲の改作でした。
現時点での最新シングルの「こんなハズジャナカッター!」では、現在のグループアイドル群雄割拠の状況を皮肉っていて、アイドルグループのカタログソングになっている。こういう遊び心は面白い。
BEYOOOOONDSと松浦亜弥と言えば、2021年2月19日からハロプロの追っかけ達の物語『あの頃。』が全国公開される予定となっていて話題です。これは、劔樹人の自伝的コミックエッセイが原作で松坂桃李主演ということでかなり注目度が高いのですが、松浦亜弥役をBEYOOOOONDSの山﨑夢羽(「雨ノ森 川海」)が務めるとあって注目を集めています。アイドルヲタがどう描かれているかは、確かに気になる所で時間が許せば映画を観に行くのも有りかなと思ったりもしています。
おすすめの「松浦亜弥」アルバム
残念ながらSpotifyにはアルバムは落ちていないようです。
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