萌えはロック!アキバ系桃井はるこの世界

アイドル
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秋葉原=アキバ系アイドルの女王

一つ前の記事にヲタクとアイドルを結びつけて、しょこたんこと中川翔子のことを書きましたが、一部ではアキバ系アイドルとも呼ばれていたみたいです。彼女は中野区出身だし、中野ブロードウェイとの関わりが深い気もするので中野系と呼びたい気もしますが…
ヲタク=秋葉原、みたいな安直な結びつけなので、この辺りは一部の反発を呼び起こす元になっていたかも知れませんが、もっと本格的な意味でのアキバ系アイドルは?というと、やはり「桃井はるこ」という存在が浮かび上がります。
彼女に影響を与えた存在としては、地下アイドル・水野あおいや電脳アイドル・千葉麗子などが居ます。先駆者的な存在で、あまり表舞台には出て来ませんでしたが、それ故にレアで自分の守備範囲の中で盛り上がる事が出来る距離感というものが心地良く、しかも表面的なヲタク要素ではなくより”濃ゆい”ものを持っていて、自分のもの感、同調性も強く持てる存在と言えました。
桃井はるこ自身が言及していますが、ヲタクの一般化(これが良いか悪いかは別として)に貢献したのが、実はしょこたんだったと言っています。それを知って少し驚きました。また、2005年に公開された映画やドラマになった「電車男」の影響も凄く大きかったでしょう。しかし、一方で「萌えは死んだ」とも言っています。
私が桃井はるこを知ったのは、名前こそどこかで聞いたことはあったと思いますが、明確に意識し始めたのは2ちゃんねるで水樹奈々の下調べをしていた時です。
2000年以前にプレアイドルとして活動を開始、「もあいはるこ」とも名乗り、秋葉原で路上ライブ、制服コスプレにパワーグローブという出で立ちがまさに象徴的なスタイルで、そこからラジオへと活動の幅を広げていく。2002年には、伝説的ユニット UNDER 17 を結成、萌えソングという分野も提唱しています。
美少女PCゲーム、そこから萌えソング、電波ソングという独特の音楽文化はなかなか表に出てこないジャンルですが、一部では存在感を確立していたと言えます。
桃井はるこやその周辺にあった有名な萌えソングを認知出来たとき、それまで独立に聴いていたアニメ・特撮ソング、声優アーティストの楽曲、そこに萌えソング、電波ソングが加わって、また別の一大ジャンルが自分の頭の中で形成された瞬間でした。これが音楽的な意味でのアキバ系ということでしょうか。
松田聖子の時代の様なテレビ、歌謡界から知ることの出来たアイドルと違って、ライブアイドルや俗に地下アイドルと呼ばれるところから徐々に大きくなって表に出てくるアイドルというのが後に注目を集めますが、メジャーブレイクまで行かない範囲で、知る人ぞ知る伝説的存在、そういう立ち位置でしょうか。
AKB48なんかも元々は地下アイドル的な雰囲気でしたが、その後一般的な意味で見事成功しました。ももいろクローバーZもでんぱ組.incも従来の方法論とは違った流れで出てきていますが、今では商業的にも成功しメジャーな存在になったと言えます。

アイドルとヲタクの作る磁場

桃井はるこも声優として活動したりしていますが、声優・桜井智の現場から離れてから時を経て約9年、水樹奈々で声優ライブに復活しようとした時に色々調べていました。その課程で、当時水樹奈々と人気を二分していた田村ゆかりの名前を良く目にし、そこにライブでファンが凄いと話題だった桃井はるこの名前が出てくる訳です。
田村ゆかりの濃ゆいファンは「王国民」、桃井はるこの濃ゆいファンは「モモイスト」と呼ばれ、どちらの応援スタイルが熱心かという論争があったりします。どちらのファンが熱いか、凄いか論争は、この例に限らず絶えませんが、それぞれファンに対して、例えば声優以外でも、ももいろクローバーZのファンが「もののふ(武士)」と呼ばれ現場の凄い雰囲気が絶賛されたりしています。
桃井はるこに関しては、本人の生き様も惹かれるものがあり、YouTubeでもそのコールやジャンプに往年の声優アイドルライブの熱気を思い出させ、ハマって行く要素が満載でした。桃井はるこ=もも~いのライブ会場はライブハウスが多いと思うのですが、まさにそれはカオスでした。
「LOVE.EXE」(ラブ・ドット・エグゼ)が、彼女の代表曲で象徴的なのですが、ナウシカ状態と言われるステージ前に推し寄せてまた引いて行くという動きや、ロマンス、サンダースネーク等の所謂ヲタ芸、UO(ウルトラ・オレンジ)一斉点灯&追い炊き、前奏や間奏での長口上、ミックス、「始発にのって」ではサークルモッシュ的なトレインモッシュ、とアイドルライブのエッセンスが沢山詰まっていました。
会場では有志が作ったコール表も配布するという文化(これは声優アイドル方面には他の現場でも残っています)も懐かしく、まさに古き良き時代の幻影を追い求める事の出来る現場と言えます。
応援の仕方については、色々意見があるのも事実です。コール自体がうるさいとアーティスト本人の歌声が聞こえないので否定派、盛り上がり優先アーティストと共に作るライブ感が良い肯定派、細かい所では、コール自体はOKでも歌詞に被せるようなコールは部分否定派など。
ジャンプの是非(視界遮蔽)、サイリウム(ペンライト)の本数、ヲタ芸の許容範囲…論点は、色々あります。アイドル、声優方面でなくてもロックやメタルの世界でも、歌う歌わない、モッシュ…、ライブのノリに関しては正解というものはありません。
個人的には、桃井はるこの現場では、コール(被せもOK)もジャンプも肯定派ですが、これというのも桜井智というレモンエンジェル系譜の現場を、しかもコアな面子に直接関わって知った文化であったためで、会場の一体感を味わったことの体験が影響しています。
桃井はるこが、プレアイドル=ライブアイドル出身であり、後の地下アイドル的なニュアンスも持っていたことを考えると、現場での盛り上がりというのが重要な要素になっているのは自然なことでした。
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萌えはロック、最後のロック…

桃井はるこのライブ映像も入手して、そのオタク度の高さや内面性のシンパシーに、彼女自身が背負ってきた人生に、確かに彼女が支持される理由も分かる気がしました。
『アキハバLOVE』という彼女の自伝を買ったのもこの頃です。
ロリータやセーラー服の格好だったり、電波ソングだったり、昔だったら一般人が引いてしまうようなスタイルも徐々に馴染んで来るようになり、萌えはロックである、ヲタクは最後のロック、という精神も曲を何度も聴いている内にまさにその通り、と思えるようになりました。
前にPerfumeのことを書きましたが、2005年に、ぱふゅーむ×DJ momo-i名義で「アキハバラブ」と言う曲を出しているというのも、発見でした。既に音楽性が違っていたので、まさか、こんな所で繋がるなんて、と驚きました。
まさに、アキバ系の女王であった桃井はるこ、アニメ、ゲーム、アイドル、パソコン、秋葉原に実際に縁の深い存在、つい先日YouTubeの生配信のチャット欄でも、往年の2ちゃんねる用語やパソコン通信の話で盛り上がるなど、リアルタイムに世紀末を跨いできた世代として、実際は年齢一回り以上離れていますが、やはり同志的な意味合いを見つけたくなります。
2020年は、桃井はるこデビュー20周年、記念ライブも春に予定されていましたが、コロナ禍で吹っ飛んでしまいました。12月13日にバースデーライブが予定されているようで、是非とも参加してみたい所ですが、感染者が増えている現状で無事開催出来るのかも心配になって来ました。
仮に、開催されても以前の様なファンの応援、声援は見られないでしょうし、100%発散は出来ないでしょう。ただ、行く価値はあると思うんですよね。

おすすめの「桃井はるこ」アルバム

お勧めというかお気に入りのアルバムを紹介します。
残念ながら全てのアルバムがサブスク解禁されている訳ではないようです。
1.『Sunday early morning』(2008年、6枚目)
3曲目に、まさに今の時代味わい深い「21世紀」(7枚目シングル)、5曲目に「Enter!」(6枚目シングル)、9曲に「ルミカ」(11枚目シングル)等を擁する6枚目のアルバム。オリコンでは50位台と、彼女の作品にしてはなかなか健闘したようです。10曲目の「Thunder Shot」はかなりロックなナンバー。エレクトロ・ユニットの Missile Chewbaccaが参加している。本来なら10曲目には「ナイト・で・ないと」(12枚目シングル)が収録されている(※再生音量注意)

2.『STAY GOLD』(2015年、14枚目)
新レーベル tokyo toricoからの最初のアルバム。1曲目の「カイト」はアルバム発売前に現場出来ているが、その後もライブで度々披露されている。3曲目の「ツキにむかって、うて!」、7曲目の「ANCHOR~アンカー~」、9曲目の「東京サバイバル」辺りが目立った所か。(※再生音量注意)

3.『pearl』(2018年、16枚目)
移籍第3弾、現在のところ最新アルバム。1曲目からノリノリの「404 -Not found-」という如何にもなタイトルで始まる。6曲目の「Back to the 80’s」もらしいタイトルだ。9曲目は「純愛マリオネット」(23枚目のシングル)アニマックスで放送されていたアニカル部!の主題歌だったのも既に懐かしい。10曲目は「星空ダンシング」(24枚目のシングル)、個人的にはリリイベでサインを貰ったのが良い思い出。(※再生音量注意)

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